ユニオンの主張
 


「郵政改革素案」について郵政ユニオンの見解

1.2月8日、「郵政改革素案」(以下、素案)が公表されました。今後、政府内において更に追加ヒアリングも含め検討が行われ、政府原案が決定される運びとなります。
  私たち、郵政ユニオンは、昨年閣議決定された「郵政改革の基本方針」を基本的に支持しながらこの間、労働者と市民とでつくる「市民公聴会」を全国各地で開催し、これからの郵政事業のあり方とあるべき姿を検討してきました。以下、そのような立場から「素案」についての見解を明らかにしたいと思います。

2.昨年、多くの国民の政治を良くしたいという願いが結晶となり歴史的な「政権交代」が実現しました。とりわけ、「郵政民営化の抜本見直し」をマニュフェストに掲げた政党による連立政権の誕生は、私たちに大きな希望を与えました。
  9月9日の「連立政権樹立に当たっての政策合意」の「3.郵政事業の抜本見直し」では、○国民生活を確保し、地域社会を活性化すること等を目的に、郵政事業の抜本見直しに取り組む。「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結する法律を速やかに成立させる。日本郵政グループ各社のサービスと経営の実態を精査し、「郵政事業の4分社化」を見直し、郵便局のサービスを全国あまねく公平にかつ利用者本位の簡便な方法で利用できる仕組みを再構築する。郵便局で郵便、貯金、保険の一体的なサービスがうけられるようにする。株式保有を含む日本郵政グループ各社のあり方を検討し、国民の利便性を高める、と明記されました。

  私たちが注目した点は、(1)国民生活を確保し、地域社会を活性化すること等を目的にした点。(2)郵便局のサービスを全国あまねく公平にかつ利用者本位の簡便な方法で利用できる仕組みを再構築する、とした点。(3)郵便局で郵便、貯金、保険の一体的なサービスがうけられるようにする、とした点。そして、(4)国民の利便性を高める、として点などです。
  サービスの再構築と利便性を高めるという方向性が盛り込まれたことは重要な点だと考えます。

3.そして、昨年10月20日「郵政改革の基本方針」が閣議で決定されました。
  その内容は全部で6項目あり、2として、「このため郵便局ネットワークを地域や生活弱者の権利を保障し格差を是正するための拠点として位置づけるとともに、地域のワンストップ行政の拠点とする。」
  また、3として、「また、郵便貯金、簡易生命保険の基本的なサービスについてのユニバーサルサービスを法的に担保できる措置を講じるほか、銀行法、保険業法等に代わる新たな規制を検討する。加えて、国民利用者の視点、地域金融や中小企業金融にとっての役割に配慮する。」という内容が盛り込まれました。これは、「政策合意」のさらなる発展と考えます。

4.しかし、今回の「素案」は、残念ながらこういった郵政改革のめざす内容や方向性が影を潜め、「一体的なサービスの提供」や「利便性を高める」ことができるのか疑問を抱かざるをえません。以下、「素案」骨子にそって見解を明らかにします。

(1)「日本郵政グループの公益性、地域性を重視した改革を行う。」について

  旧政権のもと「民営化すればすべては良くなる」と喧伝され実施された郵政民営化でしたが、実際は、利用者サービスの低下、とりわけ、サービスに於ける地域間格差をもたらしたことは衆知の通りです。その点、今回の「郵政改革」が「公益性」と「地域性」に光があてられていることは「改革」を前進させていく上で重要な点だと考えます。
  くわえて、旧政権の誤った政策によって加速した貧困と格差の是正、崩壊しつつある社会的な絆の回復をこの「郵政改革」を通じて果たしていくそういう未来志向の希望ある改革が今必要なのだろうと考えます。
  閣議決定にある「このため郵便局ネットワークを地域や生活弱者の権利を保障し格差を是正するための拠点として位置づける」視点も重要であると考えます。その意味では、「社会性」を重視した改革視点が今求められているのだろうと考えます。

(2)「経営形態は3社体制に再編する。」について

  「民営・分社化」は、「総合坦務制の廃止」など一体的なサービスの提供をできなくし、また、委託手数料支払い(消費税課税)や店舗賃貸料支払いなど高コスト構造をもたらしました。「4分社化・持株会社」は明らかに非効率であり見直す必要があります。一体的なサービスの提供、高コスト構造の是正には全国1社制が最も適していると考えます。
  しかし、「素案」の中では、その点について十分議論が深まっているか疑問を抱きます。
  たとえば、「1社体制については、基に戻すというイメージが強く、広く国民の支持を得るという観点から適当ではないという意見も聞かれる。」等という理由で選択肢から除外されています。また、「ユニバーサルサービス義務を直接的に金融サービスを担う事業体に課すこととなり、競争条件の公平性の観点から調整が困難」という点も指摘されていますが、逆に国民生活を守り、福祉を増進させる目的を持った金融機関は、一般の金融機関ではなく、棲み分けを図ることができ、「民業圧迫」などの避難を回避することが可能となります。

(3)「政府が国民に対して負っているユニバーサルサービス提供義務を親会社に対して課す」という点について

  義務を誰が負っているのかという点に関して、「日本郵政グループが本来的に負っている義務を法律で担保する」ことでなく、「政府が負っている義務を法律によって日本郵政グループに課す」とされています。この点については、熟考が必要です。はたして、政府からサービスの提供を請け負って事業展開する企業が質の高いよりよいサービスを提供することができるでしょうか。
  ユニバーサルサービスとそれ以外の一般サービスを切り分けるのではなく、「社会的な使命」を自覚し、公共性を基礎においた企業理念を明確に打ち出してこそ日本郵政グループはその企業価値を高めるのではないでしょうか。

(4)「ユニバーサルサービス業務は、郵便、金融とも国民生活の利便性を鑑み、基本的な内容を定める。」について

  24,000郵便局ネットワークの維持がユニバーサルサービス提供のために必要であり、ネットワーク維持のための基準、ガイドラインの策定を行い、ネットワークに関する住民の苦情、要望を受け付け審議する委員会を設置する必要があります。

(5)「銀行会社、保険会社は、業法に基づく一般会社とする。」について

  金融2社は、かりに3社再編となる場合でも、一般業法などと別立ての特別法のもとにおき、金融ユニバーサルサービスの義務づけが必要です。10.20「基本方針」ではそのような内容が盛り込まれています。

(6)「政府が国民に対して負っている義務を日本郵政グループに課すことに鑑み、義務履行コストに見合う内容の所定の措置を日本郵政グループに対して講じる。」について

  消費税の減免、委託手数料への消費税非課税化などの措置を講じる必要があります。

(9)「日本郵政グループ経営の自主性を重んじる一方、高い非正規雇用率、地域経済との関係希薄化等の経営上の問題点を改善することを求める。」について

  近年、企業の社会的責任(CSR)が一般の民間企業でも求められています。まして、日本郵政は、現在国が100%の株を握っている社会的企業です。最大の株主は国民であり、日本郵政は、自らの社会的責任を強く自覚する必要があり、政府として改善を強力に指示すべきであると考えます。
  現在、日本郵政は、日本最大の非正規企業となっており、非正社員が常態的に基幹的な業務に就き社員同様の責任を課せられ働いています。しかも、その賃金実態にいたっては、「5社の非正社員17万2,316人中64%が年収200万円以下」であることを日本郵政自身認めています。
  郵便局とそのネットワークを「地域や生活弱者の権利を保障し格差を是正するための拠点として位置づける」ならば、自らの足下で広がる格差をまず是正する必要があります。
  非正社員の正社員化と均等待遇の実現は、郵政改革の大きな課題と言えます。

(11)「政府から親会社への出資比率、親会社から子会社への出資比率、金融サービスの内容と利用限度額等については、今後の与党プロセスの議論を踏まえ決定する。」について

  ユニバーサルサービスの義務を行うためには、国が強力な権限を保持することが必要であり、国が株式の全部を保持することが必要です。また、1社制が望ましいが、金融2社を子会社化するとすれば、子会社を完全に支配できる比率の株式を保有することを義務づける必要があります。

5.その他、資料 主要論点から「今回の改革論議を進めるうえで配慮すべき「3つの意志」について
  今回の改革議論を進めるうえで配慮すべき「3つの意志」として、「政府」「日本郵政グループ」「国民」の意志があげられています。
  かつての郵政民営化は、3つの意志がバラバラであったために政府が国民への責任を放棄し、企業が利潤追求に汲々とし、国民は蚊帳の外においやられてきました。したがって、今回の改革では、「3つの意志」が結びつくことが必要です。それは、改革議論だけでなく、改革の後もそれを常に検証し、あるべき姿へ前進させる仕組みづくりとも関連します。

  今後の改革の検証のあり方や新会社のガバナンスの構築が課題です。
  私たちは、これからの企業のあり方としては、「ポリティカルカンパニー」ではなく「パブリックカンパニー」でなければならないと考えます。政府は、郵政事業を政争の具にすることはあってはなりません。
  また、企業は、本来の市民や利用者のための社会的な事業体であるべきです。そのためには、「国民」の意志を「日本郵政グループ」自らがしっかりと汲み取る仕組みづくりが必要です。たとえば、ガバナンスの一環として国民・利用者の苦情や要望を受け付ける審議会・委員会の設置やあるいは事業を監視する国民参加の監視委員会の設置、情報公開の徹底などの検討が必要だと考えます。

以上。

 
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